「経営者は危なくなるほどよく笑う」
僕ははじめこのタイトルの意味を勘違いしていました。
破綻を避ける良い経営者は苦しくても笑顔でいられる図太い神経でいなければならない、みたいな自己啓発本の一種だと思って購入してみたら、内容はまったく別物で愕然としました。
実際は、破綻に向うまでの経営者の心理とその兆候を「初期段階」「中期段階」「最終段階」に分けて分析している本でした。
【破綻に向かう「初期段階」】
1.取引先の悪口を言うようになる。
2.業績が落ちていくのを従業員のせいにする。
3.言い訳が多くなる。
4.金融機関を非難するようになる。
5.話のつじつまが合わない。
6.原料高騰を甘く見ている。
7.運転資金の借入回転が早くなる。
8.売上げがないのに経費を削減しない。
【破綻に向かう「中期段階」】
1.見込みと現実の区別がつかなくなる。
2.一発儲けの話にすぐに乗ってしまう。
3.統一性のない商品や資料が増える。
4.バブル期に儲けたのと同じ手段を追う。
5.家にいる時間が減る。
6.弱気な話と大きな話を交互にする。
7.未来が予測できず希望的観測にすがる。
8.カードで借り手て運転資金を捻出する。
9.客や従業員の声を聞かない。
10.知らない電話番号の携帯着信には出ない。
11.社内で携帯電話が鳴ると外へ出て話す。
12.事業所の移転を不動産屋に相談し始める。
13.急に会費が必要な付き合いを始める。
14.再生のセミナーには参加しない。
15.売掛金の回収を急ぐ。
16.借入金がランニングコストに使われている。
17.交通費など小額経費の精算に時間を要する。
18.給与の未払いがたびたび起こる。
19.仕入れの支払いサイトが延びる。
20.急に新規の仕入れ先を開拓しようとする。
21.社有車の稼働率が低い。
22.従業員に元気がなくなり職場に活気がない。
23.幹部従業員が独立または転職する。
24.手形割引のパンフレットの送付が多くなる。
25.従業員に対して異常に経費の節約をさせる。
【破綻に向かう「最終段階」】
1.明らかに寝不足がち
2.資産価値のあるものを売却する。
3.所在がはっきりしない時が増える。
4.目を見ながら話ができなくなる。
5.最近つき合いのない友だちに会いに行く。
6.お蔵入りを引き出す。
7.自分から不振を口にしなくなる。
8.人相が変わる。
9.感情の起伏が激しくなる。
10.みすぼらしい・だらしない印象を受ける。
11.強烈なマイナスのエネルギーを感じる。
12.滞りがちだった金利を期日に支払う。
13.外部への対応時に笑顔が増える。
14.子どもが長期の休みに入ってすぐ離婚する。
15.提案への回答がわけもなく延びる。
16.従業員も知らない会議が頻繁に開かれる。
17.経営陣が頻繁に入れ替わる。
18.採算を度外視して在庫の現金化を目指す。
19.トイレや車、事務所が汚くなってくる。
20.事務所の前にスーツ姿の人が待機している。
21.取立て屋らしき人が常時周辺にいる。
僕のみるところ、大半の中小企業の経営者は「中期段階」にあると思います。
商談で相手から「検討しておきます」と回答されたとき、焦っている経営者はそれを「可能性あり」と感じ、独り勝手に売上げ予測に立ててしまう、「見込みの現実化」などはきっと多くの経営者が経験があると思います。
経営は、どこまで自分の頭脳と精神をクレバーな状態で保っていられるかが勝負の世界です。
1週間に一度は、こういうチェックリストを利用して自分の頭脳と精神の状態を把握することも必要なんだと思います。
でも、貞子は出てきませんが鈴木光司の「リング」以上に怖い本ですよ。
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