2009年10月2日金曜日

経営環境の把握と環境対応の在り方(その1)

経営環境のキーワードは、「不連続」「不透明」「スピード」といわれています。

「不連続」というのは、今までの事業や経営の成功体験が必ずしもこれからの会社の維持・成長を約束しないということを意味します。

「不透明」というのは、先の見通しがきかないということを意味します。

「スピード」というのは、苦労して(運よく)成長軌道に乗せた事業・製品や競争優位の条件が陳腐化していくスピードが絶望的に速いということを意味します。

おそらく皆さんも思い当たる節があると思います。

急成長したビジネスモデルに瞬く間に急ブレーキがかかり、前年比売上高を割り込み、一気に赤字転落、倒産へと至る事例は毎日のように日経新聞に掲載されています。

本来、予測した未来に近づくための計画と実行&結果のブレが少ないことが経営には求められますが、おそらく日本中から集められた優秀な頭脳をもって経営にあたっているであろう大企業の経営者の手腕も、残念ながらその程度なのです。

だから、中小企業の経営者が、予測した未来に近づくための計画と実行&結果のブレが大企業に比べて少なければ、大企業の経営者よりも優れた経営者だということができます。

なんだか、わくわくしてきませんか?

よく言われることですが、自然界の法則と同じで企業競争社会も、「大きくて強いもの」が生き残っているわけではなく、「小さくとも環境変化にうまく対応できたもの」が生き残っています。

環境変化のスピードはかつてないほど速く、その変化を無視しての生存はあり得ません。

経営環境の把握のポイントは、

1.自社のマーケットの需要の大きさと成長性
2.自社のマーケットニーズの変化
3.競合先の動向
4.上流サイド、下流サイドの業界の動向

が中心となります。

>>つづく。

2009年10月1日木曜日

独立開業するにあたって事務所を借りる必要があるか?

独立開業セミナーなどに参加すると、決まって受講生が講師に質問するに、「独立開業するに当たって、事務所を借りたほうが良いですか?それとも、しばらくは自宅兼事務所で様子を見たほうが良いですか?」というものがあります。

答えは、どちらもありということになるのでしょう。

訪問者が多いのか少ないのか、人を雇うか雇わないか、大きく発展させるつもりがあるかないか、業種などによっても変わってくるでしょう。

独立開業以来、3LDKのマンションを自宅兼事務所として使っていたあるクライアントに対しては、事務所を駅前近くに借りることをアドバイスする一方、僕自身は、今年4月の営業開始以来、事務所として使っていた駅前の自己所有マンションを再び賃貸マンションとして貸し出すことにし、自宅に事務所を引っ越すことにしました。

事務所を駅前近くに借りることにしたクライアントは、業務を拡大しようとするとどうしても人を雇わなければならない状況にあり、他人を自宅兼事務所に入れるには抵抗感が強かったという事情がありました。

6か月間営業してみたところ、クライアントが事務所にくるケースよりも自分がクライアント先に出向いているケースが圧倒的に多く、結局事務所として使われるのは夜だけという状況であることが分かりました。折しも「小規模事業者のための経費削減プログラム」というレポートを作成していたこともあり、自ら経費削減に取り組んでいないと説得力無いよね、と思っていたこともあり、移転が決定しました。

虚栄心を満足させたり、見栄をはるために自宅とは別の場所に事務所を設けておきたいという自分の気持ちを抑えつつ、「カッコ悪さを受け入れて”キャッシュ”を手に入れろ!」などとレポートで書いておきながら、自分自身が経費削減プログラムを実行出来ていない状況だったものですから・・・。

自宅を事務所として利用する際の注意点としては、特に賃貸マンションや賃貸アパートである場合は、賃貸契約書を確認し、事務所利用についてのオーナーの承諾を必ずもらうこと、分譲マンションの場合には管理規約を確認して事務所利用が可能かどうかを必ず確認すること、があげられます。

大抵は、不特定多数の人の出入りがない場合であれば、登記上の本店としてポストやドアに会社名の入ったシールを張ることまでは許容されるケースが大部分です。ただ、無断で本店登記したり、英会話教室や音楽教室を開講し、オーナーや近隣住民のクレームによって退去させられたケースもありますので安易に考えないほうがいいでしょう。

登記上の本店にビル名や部屋番号を入れるか入れないかについては、ビル名まで登記していた場合にはオーナーチェンジやオーナー会社の合併や商号変更によってビル名が変更してしまった場合に、登記費用をかけて変更手続きをしなければならないことから、以前はビル名は入れないことを僕は推奨していました。また、部屋番号もあえて入れないほうが、DMや突然の訪問者が減る、マンションぽくないほうがカッコいいなどの理由から部屋番号も入れないことを推奨していました。

ただメール便のように、運送会社さんから委託を受けた素人さんが配達に回るケースが増え、ビル名や部屋番号などが明確に分からないと郵送物が届かないというケースが増えました。そのため、いまでは逆に本店の記載は細かくすることををお勧めしています。